ウェルスナビ柴山社長さんの記事をインタビューを中心にまとめた。時系列はちょっと適当。
私なりの定義をいえば、フィンテックとは「金融サービスがユーザーにとって最適なかたちに生まれ変わること」だと考えています。そのための手段として、スマートフォンやクラウド、金融API(Application Programming Interface)などのテクノロジーが使われていますが、それら自体はネット業界ではごくごく標準的なものです。こうしたテクノロジーを使ってユーザーが望むかたちにサービスが生まれ変わることは、金融業界に限らず当たり前のことであり、得体の知れない“流行りもの”とは一線を画した動きです。
たとえば、日本の資産運用サービスは「取引」のみに集中しています。投資信託の銘柄数や、株式の約定スピード、取引の手数料などをめぐって、金融機関は競い合っています。それ以外の、目標金額やポートフォリオの設定、積立方法や節税といった点にはほとんど関わってくれません。この結果、乱暴にいえば、顧客の資産が増えても減っても、取引さえ繰り返してくれたら儲かる構造になっているのです。この点は、金融庁も具体的に批判しており、フィデューシャリー・デューティーの徹底を金融機関に対して求めるようになりました。
けれども、計算しつくして、合理的な選択ばかりを取っていては、自分を偽ることにもなるし、そのほうが後悔の念に苛まれるはず。理想を追い求める高い志でも、人に言うのもはばかられるような低俗な目標でも、自分に正直でいることが重要なんです。
もしその望みが、「空港のプラチナラウンジに行く」「高級車を手に入れる」とかであってもいいと思うんです。友達に話すのが後ろめたいようなくらだらない目標だったとしても、それでも、自分が本当に望むもののために、一生懸命やったほうがいいと思う。
印象的な部分を
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マッキンゼーを辞める時、起業するためにプログラミングを学ぶことを周りに話しました。すると、ほとんどの反応は、「それは君の強みではないだろう?」「エンジニアを雇えばいいじゃないか」「正気か?」というものでした。今でも、私が実際にTECH::CAMPでプログラミングを学んだことを話すと、「本当ですか」と驚かれます。
それほど、コンサルティングや金融とエンジニアの世界はかけ離れているのです。
そんな中、賛成してくれた人が3人いました。その中の1人がマッキンゼーの日本支社長であるジョルジュ・デヴォー氏でした。彼は「金融をITで起業するなら、自分でコードが書けることは絶対的な必要条件。ボストンに留学している娘にも、プログラミングを勉強するように言っているよ。」と背中を押してくれました。
以下、印象的な文言
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私は2007年に米国人の妻と国際結婚をしました。結婚式を行った場所はシカゴにある妻の実家。裏庭に70~80人を収容できるテントを張って式を挙げました。メインの庭ではなく裏庭でもそれだけ広いのです。その豊かさが目に焼き付いています。
私は一般的なサラリーマンの家庭に育ちました。後に妻の両親と私の両親の間には、金融資産が10倍以上離れていたことに気づきますが、社会的に大きな地位の差があったわけではありません。
どちらの両親とも、日本と米国で同じような大学を出て、同じような大企業に勤め、同じように昇進し、同じように退職していきました。
それでは何が違ったのか。最も大きな違いは、義理の両親には、資産運用のアドバイザーがついていたということです。義理の両親は、プロのアドバイスに従い、25年間にわたり、国際分散投資を行っていたのです。
私の両親はというと、バブル崩壊で株取引を止めて、現役のときは住宅ローンと保険料を支払い続け、残りは預金で蓄えて退職金を得るという日本では一般的な運用スタイルでした。
その差が結婚式で見た裏庭の光景だったのです。
実際、1990年からの25年間を調べると、世界経済は年平均3.6%成長していました。米国の代表的な株価指数S&P500では年平均9.8%伸びていました。
ですが、日本では、バブル崩壊前の水準にすら株価が戻っていません。義理の両親の資産が膨らむのも、もっともだったわけですね。
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